ロレックスの価格が高い理由|近年の価格高騰を価格と歴史の推移から紐解く
ロレックスの価格高騰は、所有者にとって喜ばしい反面、その価値を正しく理解し、将来的な資産価値を見極める必要性を突きつけます。一体なぜロレックスは高価なのか、そして近年の価格高騰は何によってもたらされたのか。本記事では、これらの疑問を解消し、ロレックスの価値を多角的に理解するための情報を提供します。
この記事を読むことで、あなたは以下のことが理解できます。
この記事でわかること
- ロレックスが高級時計としての地位を確立した理由
- ロレックスの価格が歴史の中でどのように変化してきたか
- ロレックスの価格高騰を支えるブランド戦略
これらの情報を基に、ロレックスの価値を正しく理解し、今後の資産価値を見極めるための判断材料を手に入れてください。
ロレックスはなぜそもそも高価なのか
ロレックスは、高級腕時計の代名詞とも言える存在であり、その価格の高さは誰もが認めるところです。しかし、なぜロレックスはこれほどまでに高価なのでしょうか?ここでは、その理由を3つの視点から解説します。
▼ロレックスが高価な理由
- 理由①|腕時計としての完成度が高いから
- 理由②|中古市場でのニーズが高いから
- 理由③|希少価値が高いから
理由①|腕時計としての完成度が高いから
ロレックスは、その品質と耐久性において他ブランドの追随を許しません。
そんなロレックスですが、一体どんな性能において他ブランドよりも優れているのでしょうか。それは、ロレックスが持つ以下の3つの機構から説明できます。
ロレックスが持つ3つの機構
- デイトジャスト機構
- オイスターケース
- パーペチュアル機構
▼デイトジャスト機構
0時ちょうどに日付が瞬時に切り替わる日付表示機能を備えています。
リューズ操作で日付を個別に早送り可能。また、日付表示を拡大するサイクロップレンズも搭載しています。
▼オイスターケース
ねじ込み式の裏蓋とリューズ、二重パッキンによる高い防水性を誇っています。
耐久性に優れた素材を使用した堅牢なケース構造で、塵や埃の侵入を防ぎ、ムーブメントを保護できます。
▼パーペチュアル機構
腕の動きでゼンマイを自動的に巻き上げる自動巻き機構を備えています。
フル巻き上げで約70時間駆動するロングパワーリザーブで、高精度を誇るスイス公認クロノメーターを搭載しています。
この様に、ロレックスは他を寄せ付けない圧倒的な卓越した技術と優れた機能性を持ち合わせています。ロレックスが高価である所以はここにあると言えます。
理由②|中古市場でのニーズが高いから
ロレックスは、中古市場でも非常に高い人気を誇ります。例えば、一部の人気モデルは、中古市場での価格が定価を上回ることもあります。これは、ロレックスの時計が、単なる時計としての価値だけでなく、投資対象としての価値も認められていることを示しています。
理由③|希少価値が高いから
ロレックスは、その生産量を厳しく管理しており、需要に対して供給が常に不足している状態です。例えば、人気モデルの「デイトナ」や「サブマリーナ」などは、正規店での購入が非常に困難で、数年待ちの状況が続くこともあります。生産量の制限による希少性の高まりや、それに対するニーズの高さも、ロレックスの価格を押し上げる要因となっています。
ロレックスの価格高騰を歴史的背景から紐解く
ロレックスの価格、それは一貫して高値を保ってきたわけではありません。時代と共に、その価値は変遷を遂げてきました。ここでは、歴史的な背景を踏まえ、ロレックスの価格推移を3つの時期に分けて紐解いていきます。
時期 | 価格動向 | 背景・要因 |
---|---|---|
バブル期以前(~1990年代初頭) | 安定した価格 | 高級時計としての地位は確立していたが、価格は比較的安定。一般的なサラリーマンでも手が届く範囲で、投資対象としての認識は薄かった。 |
バブル崩壊後~2010年代前半 | 緩やかな上昇 | ・バブル崩壊後の経済停滞期は高級品市場全体が低迷したが、ロレックスは堅調に推移。・2000年代に入ると新興国の経済成長に伴い、海外での需要が高まり、価格が緩やかに上昇。 |
2010年代後半~現在 | 急激な高騰 | 世界的な高級時計ブームや投資需要の高まり、特定の人気モデルの入手困難化、新型コロナの影響による生産減少、世界的なインフレ、円安など、様々な要因が重なり価格が急騰。中古市場での価格高騰も加速。 |
バブル期以前(~1990年代初頭)|安定した価格
バブル経済以前の日本では、ロレックスは高級腕時計としての地位を確立していましたが、現在の様な熱狂的な人気や、投資対象としての価値はまだありませんでした。そのため、価格は比較的安定しており、手の届く高級品として認識されていました。
例えば、1980年代には、デイトジャストやサブマリーナといった定番モデルが、現在の価格と比較するとかなりリーズナブルな価格で販売されていました。当時のサラリーマンでも、少し頑張れば購入できる憧れの存在だったのです。
バブル崩壊後~2010年代前半|緩やかな上昇
バブル経済の崩壊後、日本経済は長期低迷期に突入し、高級品市場全体が冷え込みました。しかし、ロレックスは、その品質とブランド力により、根強い人気を保ち続けました。この時期、価格は緩やかに上昇しましたが、それでもまだ手が届く範囲でした。
例えば、2000年代には、デイトナやGMTマスターIIといった人気モデルが、徐々に価格を上げていきましたが、それでも現在の価格と比べるとまだ手が届きやすいものでした。一部の愛好家やコレクターの間では、将来的な価値上昇を見越して購入する動きも見られましたが、一般的な消費者にとっては、まだ手の届く高級品としての側面が強かったと言えるでしょう。
2010年代後半~現在|急激な高騰
2010年代後半に入ると、ロレックスの価格は、それまでの緩やかな上昇とは一線を画す、急激な高騰を始めました。これは、世界的な金融緩和や新興国の経済成長などを背景に、投資対象としての価値が見直されたこと、そしてSNSなどを通じて情報が瞬時に世界中に拡散されるようになったことなどが要因として挙げられます。
特に、デイトナやGMTマスターIIといった人気モデルは、正規店での入手が困難になり、プレミア価格で取引されるようになりました。中には、定価の数倍の価格で取引されるモデルも現れ、ロレックスは、一部の富裕層や投資家のための高級品へと変貌を遂げました。
例えば、2021年には、ステンレススティール製のデイトナが、定価の3倍以上の価格でオークションで落札されたという事例もあります。このような高騰は、一般消費者にとっては手の届かない存在となり、ロレックス市場におけるバブル崩壊を懸念する声も上がっています。
ロレックスの価格高騰の背景にはブランド戦略がある
ロレックスの価格高騰は、市場原理だけでは説明できない側面があります。そこには、ロレックスが長年かけて築き上げてきた巧みなブランド戦略が深く関わっています。ここでは、その中でも特に重要な3つの戦略について解説します。
ロレックスの価格高騰の背景にあるブランド戦略
- 限定生産
- 著名人起用
- 正規販売店のみの販売
戦略①|限定生産により供給を意図的に少なくしている
ロレックスは、需要に見合うだけの時計を生産せず、常に品薄状態を維持することで、希少価値を高めています。
自社の時計が「手に入りにくい」という状況を作り出すことで、ブランド価値を高め、消費者の購買意欲を刺激しています。
例えば、人気モデルである「デイトナ」や「サブマリーナ」などは、正規店での購入が非常に困難で、数年待ちの状況が続くこともあります。
これは、ロレックス側が転売目的ではなく「本当に愛用したい人」に商品を提供したいというスタンスを持っているためとも言われています。
また、ロレックスも企業として目標売上金額があり、特に月末などには、頻繁に来店する顧客に対して販売する傾向があるという話もあります。
このような入手困難さが、ロレックスのプレミア感をさらに高め、価格上昇を後押ししているのです。
戦略②|著名人等を起用した広告戦略
ロレックスは、著名人やスポーツ選手などを広告に起用することで、ブランドイメージを高め、購買意欲を刺激しています。
ロレックスの広告には、成功者や一流アスリートが登場することが多く、その姿を通して、ロレックスの高級感や信頼感を印象付けています。
最初の広告戦略として起用された著名人は、実業家で俳優のポール・ニューマンでした。
その他にも、テニスのロジャー・フェデラー選手や、ゴルフのタイガー・ウッズ選手などは、長年にわたってロレックスのアンバサダーを務めています。
彼らを支持するファンの多くによってロレックスの購買率が圧倒的に高まったと言われています。このように著名人を起用したロレックスの広告戦略も価格上昇の後押しをしている理由の一つです。
戦略③|正規販売店のみの販売に絞り販路を限定している
ロレックスは、正規販売店のみでの販売に限定することで、ブランド価値を維持し、価格をコントロールしています。
正規販売店以外での販売を制限することで、安売りや不当な価格競争を防ぎ、ロレックスの高級イメージを守っています。
また、インターネット通販などでの販売を一切行っていません。これは、正規販売店を通じてのみ販売することで、顧客との信頼関係を築き、ブランド価値を維持するための戦略です。
まとめ
ロレックスの価格高騰の背景には、市場原理だけでなく、ロレックス独自のブランド戦略が大きく影響しています。限定生産、著名人起用、正規販売店のみの販売といった戦略が、ロレックスの希少性と高級感を高め、価格上昇を後押ししているのです。
これらの戦略は、ロレックスが長年かけて築き上げてきたブランドイメージを維持し、さらなる成長を目指すための重要な要素と言えるでしょう。しかし、一方で、一部の消費者にとっては、ロレックスが高嶺の花になってしまうという側面も否定できません。
ロレックスの購入を検討する際は、これらの背景を理解した上で、慎重に判断することが重要です。市場の動向や価格推移を注視し、自身のニーズや予算に合わせて最適な選択をするようにしましょう。